
5月も中旬なのに、とても寒い日がやってきたわ…
ドイツの5月や6月というと、長い冬が終わり春がやってくる、1年で一番過ごしやすい、美しい月だと言われています。
なのですが、油断大敵。いわゆる「寒の戻り」があることが。
5月11日から15日は「Eisheiligen」(アイスハイリゲン・氷の聖人たち)。
この日は冷え込み、霜が降りたり雪が降ることがあると言われています。
とはいえ、最近は典型的はアイスハイリゲンの寒さは来なかったのです。が、今年は5月11日からの1週間がとても寒い日となっています。
Eisheiligen とは?
「Eisheiligen」は直訳すると「氷の聖人たち」という意味です。
- Eis=氷
- Heilige(n)=聖人
5人の聖人の祝日と重なっており、この時期に一時的に寒波が訪れるという伝統的な気象の言い伝えです。
その5人の聖人は
- Mamertus(5/11)
- Pankratius(5/12)
- Servatius(5/13)
- Bonifatius(5/14)
- Sophie(5/15)
Eisheiligen の5人の聖人
このアイスハイリゲンの日が祝日となっているカトリックの5人の聖人を簡単に紹介すると
1. Saint Mamertus(マメルトゥス)
- 祝日:5月11日
- 5世紀のフランス・ヴィエンヌの司教
- 災害や不作の時に祈りの行列(Rogation Days)を始めたことで有名
農業との結びつきが強いため、後に天候伝承とも関係づけられました。
2. Saint Pancras(パンクラティウス)
- 祝日:5月12日
- 14歳前後で殉教した若い聖人
- ローマ帝国時代のキリスト教迫害で亡くなったとされる
ドイツ語では Pankraz。
ドイツのことわざではよく寒波担当にされます。
“Pankraz hält den Nacken steif.”
(パンクラティウスは冷たい首筋をもたらす)
3. Saint Servatius(セルファティウス)
- 祝日:5月13日
- 現在のベルギー・オランダ地域の司教
- 寒さや霜から守る聖人としても知られる
オランダの Maastricht に関連が深く、墓所への巡礼も有名です。
4. Saint Boniface(ボニファティウス)
- 祝日:5月14日(地域差あり)
- 「ドイツ人の使徒」と呼ばれる宣教師
- ゲルマン地域へのキリスト教布教で非常に重要な人物
有名なのは「雷神トールの樫の木」を切った逸話です。
5. Saint Sophia of Rome(ソフィア)
- 祝日:5月15日
- ドイツでは Kalte Sophie(寒いソフィー) として有名
- Eisheiligen の最後の日
この日を過ぎると寒波が終わる、と昔から言われています。
Eisheiligen は5月11〜15日の連続した寒波期間ですが、
最後の 5月15日 が Saint Sophia of Rome(ソフィア)の祝日でした。
昔の農民にとって重要だったのは「この日を過ぎれば、もう大きな霜は終わる」という区切りです。
つまり Sophie は、寒さを連れてくる存在というより、「最後の寒さの番人」のような位置づけになりました。
Sophieに関するBauernregel(農事ことわざ)を紹介すると
- Sophie man die Kalte nennt, weil sie gern kalt` Wetter bringt.(ソフィーが「寒い」と呼ばれるのは、冷たい天気を運ぶから)
- Vor Nachtfrost du nicht sicher bist – bis Sophie vorrüber ist.(ソフィーが過ぎるまでは夜霜に安心するな)
- Kalte Sophie wird sie genannt, denn oft kommt sie mit Kälte dahergerannt.(ソフィーは寒さを伴って走ってくるので、コールドソフィーと呼ばれている)
- Pflanze nie vor der Kalten Sophie.(ソフィーが来る前に植物を植えてはいけない)
- Kalte Sophie sät Lein, zu gutem Gedeihn.(ソフィーはよく育つように亜麻を蒔きます)
- Oft hat Sophie Frost gebracht und manche Pflanze totgemacht.(ソフィーはよく霜をもたらし、多くの植物を枯らしてきました)
- Die kalt‘ Sophie, die bringt zum Schluß, ganz gern noch einen Regenguß.(ソフィーは最後には、豪雨をもたらすのが大好きです)

ソフィーの日が過ぎると暖かくなるというのがよく伝わってくるわ
5月11日〜15日は実際に寒くなるの?
完全な迷信ではなく、実際にこの時期は北から冷気が入りやすい傾向があります。
特に内陸部や朝方はかなり冷え込みます。
とはいえ、「アイスハイリゲンだね」と言われるほど急に冷え込む日々になることは少なくとも最近はなかったのです。
が、今年は特にドイツ西部〜中部(NRW州 など)は、
今週かなり「冷たい・湿った・風の強い」空気に覆われています。

私の住んでいるデュッセルドルフはNRW州で
本当に体の芯から寒さが感じられるくらい寒いです!
今年のドイツの Eisheiligen は、かなり「それらしい」年だと言われています。
特に今週は、
- 気温が平年より低め
- 雨と風が多い
- 地域によっては霜や雪(雪よ!)
- 日中でも 10〜15℃前後(明け方など5度とか…)
という典型的な「寒の戻り」になっています。
一方で、歴史的な極端寒波というほどではなく、
- 広範囲の強烈な霜
- 全国的な氷点下
- 農作物壊滅レベル
ではありません。
「昔ながらの Eisheiligen が久々にちゃんと来た」という感じに近いのです。
気象専門家の中には、「ここまで典型的な Eisheiligen は久しぶり」という評価もあるほどです。
ドイツ語でよく聞く表現
- “Die Eisheiligen sind da.”
(アイスハイリゲンが来たね) - “Nach den Eisheiligen wird es wärmer.”
(Eisheiligen の後は暖かくなるよ)
通常は、この時期を過ぎると本格的に春〜初夏の気候になります。

来週は最高気温が20度を超えるみたい〜!
なぜ聖人と天気が結びついたの?
中世ヨーロッパでは、
- 農業
- 教会暦
- 季節の観察
が密接に結びついていました。
農民たちは「毎年この聖人の日の頃に寒くなる」と経験的に覚え、それがことわざや農事暦になったのです。
寒さに弱い植物(トマトやバジルなど)はこの「Eisheiligen」の日が終わってから屋外へ!という注意喚起は今でも言われています。

実は現在の暦では、昔のユリウス暦からずれているため、「本来の Eisheiligen は今の5月19〜23日頃に近い」という説もあるのですって。
だけど、今年はばっちり5月11日から15日にEisheiligenが来たわよ!
Eisheiligenが過ぎると暖かくなるとはいえ、6月には「Schafskälte」(シャーフスケルテ)という日がくるからね。油断ならない!

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