ドイツ語で使われる文字は26あるラテン文字(アルファベット)に加え、
ä,Ä,ö,Ö,ü,Üというウムラウトがついた文字(大文字、小文字それぞれ3つ)に
エスツェット(Eszett)またはシャーフェス・エス(Scharfes S)と呼ばれる文字、があるのでしたね。
そう、これです!
ß
このßという文字は2017年まで大文字がありませんでした。長年、「ßの大文字も作ろう!」という動きはあったようですが、なかなか現実にならず。
ですが、2017年6月28日に正式にßの大文字が認められ、使われるようになりました。
ßって、どんな時に使われるの?
ß, エスツェットが表すのは無声音のSの発音です。(サシスセソ、といった発音)
SSとほぼ同じ発音なのですが・・・
アクセントのある長母音の後=ドイツ語の原則では長母音の後は子音が1つとなっています。なので、長母音の後にSSは持って来れない→ßだと一文字扱いです。例えば
- Straße(シュトラーセ)道、通り
- aßen(アーセン)essen(食べる)の過去形
(長く発音する)2つ並んだ母音の後
- heißen(ハイセン)〜と呼ばれている
- außen(アオセン)外側に、外側で
なお、同じくドイツ語を公用語とするスイスとリヒテンシュタインではßは(固有名詞など例外をのぞいて)使われません。
ßの文字の代用は?
パソコンなどでßの文字が入力出来ない、などの場合はßをssで代用します。(以前はSZで代用した事もありますが、私は見たことがありません)
辞書でもßはssの場所に入っています。
こちらは電話帳。これもアルファベット順に並んでいますよね。
Massageの次にMaßenです。
どうしてßの大文字はなかったの?どうして出来たの?
ß、どうして大文字はなかったのでしょうか?
他の文字は大文字もあるのに。(üなどは大文字もあります)
ßって、単語の最初に来ることがないのです。ßで始まる単語はないのです。
(長母音の後にssを使えないからßを使う、とあれば納得もしますね。)
ßで始まる単語がなければ大文字は絶対に必要という訳ではありません。なのに
どうして大文字が認められるようになったか?
答えは「全ての文字を大文字で書くことがあるから」ですね。
これまではそんな、全ての文字を大文字で書く場合はSSで代用して来ました。
しかし、です。
例えば Maße(マーセ。Maß 基準、尺度の複数形)とMasse(マッセ。塊)。
Maße を全部大文字で書くとMASSEで、MaßeなのかMasseなのか区別がつきません。
上の写真、もう一度見てくださいね。(もう一度写真掲載!)
MaßenさんとMassenさんがいます!
Maßenさんは「マーセン」、Massenさんは「マッセン」です。
そうです、Maßenさんも大文字だけで書いたら、「MASSEN」!これだと
”Herrマッセン”と呼ばれてしまう!マーセンなのに・・・
全てを大文字で書く、と言うと(よりによって)代表的なのがパスポートや身分証明証です。
名前にßがある人はSSで代用していたわけですが発音が違うので困っていたそうですよ。
ßをPCで入力したい場合は?
ドイツ語を頻繁に使う人は「ドイツ語」も入れてしまいましょう!
たま〜にßを入力したい人には
macの場合は(英字にしておいて)option +s
windowsの場合はコントロールキー (Ctrl)とシフトキー(Shift)とキーボードの「お」を同時に押します。
(私はmac使いなのでwindowsは操作確認できません。ßが出ない場合はググって他のサイトにあたってください!そしてこちらにその旨お知らせいただけると幸いです)
ßの大文字を入力する場合は?
ẞこれが大文字のßです。残念ながらキーボードには大文字のßはありません。
上記はHTMLで入力しました。この場合は ẞ です。
今のところ、大文字のßを入力しなくてはならない場合はコピペが一番早いようですよ。
ちなみにunicodeはU+1E9Eです。
まあ、大文字も小文字も見た目があまり変わらない気がしますが・・・比較します!
ß 小文字のエスツェット
ẞ 大文字のエスツェット
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