先日、とあるドイツのうさぎ サイトで「オーストリアではうさぎを1匹だけで飼う事は禁止されています」というのを読んで
「へえ・・多頭飼いしなさい、とは言われるけど 1匹だけ飼うのは法律上禁止なの?」
と びっくりしていたら
「ドイツでも禁止です!」
いえ、法律にはっきりと「うさぎは多頭飼いでないといけません」とは 書かれていません。
が、Tierschutzgesetz(動物愛護法)によると
動物を飼う人、世話をする人は その動物をその種属、その動物が必要とする環境にあった飼育方法で飼育しなければならない
(Tierschutzgesetz §2-1)
とあります。
その動物が必要とする環境とは、うさぎは社会性のある動物なので うさぎは仲間が必要。 だから1匹だけで飼うと その動物の必要とする環境を与えなかった事になり 愛護法に反する、という事なのだとか。
ドイツで勧められている うさぎの飼い方
私がうさぎ を飼い始めた時、日本の飼育書を読んで まずはその通りにしたのですが
その後、ドイツの飼育書を読んだり、ドイツで動物病院に行って獣医に教えてもらったりして得た「うさぎ の飼い方」は多少違ったものでした。
私はかれこれ15年くらいうさぎ を飼っているのですが、そのドイツで主流の飼い方も この15年で少々変化しました。
まだまだ うさぎ はここドイツでも「エキゾチックアニマル」の域を出ないようですが、
ここ数年、ドイツで 「うさぎはこのように飼いなさい」 と言われている飼育法は
- 多頭飼い
- 新鮮な餌をメインに 牧草も十分与える
- 水は給水ボトルでなく、専用の皿に入れて与える
- 1匹あたり2㎡の十分なスペースを与える
- 動物病院で定期的な検診、予防接種を受けさせる
なのです。 これらを1つ1つ説明します。
うさぎは2匹以上で 多頭飼いにする
うさぎの飼い方サイトなどを見ると 一番よく出てくるのがこの「多頭飼いにするべきだ」という事です。
うさぎは社会性がある動物なので 同じ言語(要するにうさぎ語)を話す仲間が必要なのです。
え?うさぎ語ですって?
いえ、彼らは集まって色々おしゃべりしているようですよ。 声は出しませんけど・・・
まあ、おしゃべりというのは 大げさですが。お互いに毛づくろいもします。
ドイツでは よくうさぎ2匹の代わりに「1匹のうさぎと1匹のモルモットを一緒にしたら?」という意見を聞くのですが、これはダメなのだそう。うさぎはうさぎ。モルモットはモルモット語を喋る(?)ので お互いが仲間だと理解できないのです。
うさぎにはやはりウサギ。
人間だって 「猫と一緒なら他の人間はいなくていいでしょ?」というわけにはいきませんよね。
日本ではうさぎは1匹ずつ・・と勧められているけど?
私がうさぎを飼い始めた頃に読んだ日本の飼育書は いわゆる「単頭飼い」を勧めていました。
うさぎは縄張り意識が強いから 1匹で! と。
確かにうさぎは縄張り意識が強いので 「多頭飼いにしよう!」と簡単に複数のうさぎを同じケージやサークルの中に入れては危険です。
オス同士の場合は どちらかが死ぬまで戦う事があります。
メス同士の場合でも 見慣れないうさぎが それまで自分が1匹でいたサークルに入ってくると 喧嘩を始める場合もあります。
オスとメスを一緒にすると・・・うさぎは多産です! どうなるかは 明らかですよね!
では、多頭飼いが主流(ほとんど義務)のドイツではどうするか?
適齢期がくると オスは去勢手術、メスは避妊手術を受けさせるのです。
我が家のうさぎさんは定期的に動物病院に検診を受けに行きますが、最初の検査で「体重があと500g増えたら」とか「生後○ヶ月になったら」手術をしましょう、と 手術をする頃を教えてもらっています。
この手術に関しては ドイツの獣医師は慣れているように感じます。
ところが 日本では うさぎの去勢・避妊手術はまだまだ歴史がない、という感じです。
そこで 日本では うさぎの多頭飼いがされていないのではないでしょうか?
避妊手術をするのは 単に繁殖を防ぐためだけではなくて、性格も穏やかになり、オス同士でも闘争本能がなくなり 穏やかになるからなのです。 これで オス同士でも喧嘩しなくなります。
メスはそのままにしておくと子宮疾患にかかりやすくなるので その予防のためにも手術を受けさせる事は有効なのだそうです。
また、新しいうさぎを迎える時は すぐに一緒にしないで 2つのサークルを隣り合わせに作って お見合いさせて、それから徐々に様子を見ながら一つのサークルに一緒に入れました。
ほら・・動物園でも 新しい仲間がきた場合、繁殖にパートナーを連れてきた場合に すぐに2匹を一緒にせず、金網越しに新しいパートナーが見えるようにして まずはお見合いさせているのを テレビのニュースなどで見ますよね? そういった感じです。
新鮮な野菜をメインに 牧草や乾燥したハーブなどを与える
つい数年前までは 「極端な話、牧草と水だけでも十分。 とにかく牧草は食べ放題にするように」と言われていたのですが
最近のドイツのうさぎの飼育法では 野菜をたくさんあげるのが主流です。
まあ・・野うさぎが食べているのは新鮮な葉や野菜ですからね。
わが「うさぎの部屋」の住人ならぬ住うさは 朝と夕方、お皿いっぱいに 野菜(主に葉っぱ)をもらいます。
牧草は牧草入れに、そして、大好きな「乾燥オオバコ」(Spitzwegerich)をよくもらいます。
春から秋には庭にあるタンポポやイチゴの葉ももらっています。
市販のペレットは?
市販のペレットは ほとんど与えていません。
うさぎは食物繊維を必要とするのですが ペレットの食物繊維は牧草の食物繊維のように消化を助けるという事はないそうです。
最近のドイツで手に入るペレットは糖質オフ、食物繊維が豊富、とあるものが多いのですが、それでも 牧草を粉々にしたもの、という感じで 長いままの牧草の代用にはならないのだとか。
それでもペレットを与えた時があります。 それは・・うさぎたちがまだ子供で病気になった時。
未熟なくろんこは 頻繁にペレットのお世話になりました。
水は給水ボトルではなく、ボウル(Napf)に入れて与える
うさぎには新鮮な飲み水も必要です。
ケージやサークルを買うと、このような給水ボトルがついている事もあります。
この給水ボトルからだと うさぎは水をほんの少しずつしか飲めない、という事で
餌入れとしても売っているこのようなボール(Napf)に水を入れておく事が勧められています。
我が家のうさぎさんは 最初は給水ボトルから飲んでいました。
なので 今でも給水ボトルがサークルに取り付けてあります。
が、サークル内には 水の入った「餌やりのボール」が置いてあります。
どのうさぎも給水ボトルで大きくなったのに、今はボールからごくごくと飲んでいます。
走り回るので ボールの水がこぼれないか、心配でしたが それは不要でした!
うさぎに十分なスペースを与える
「うさぎ小屋」って・・どうしてどうして、うさぎさんの住む場所は広くなければならないのです!
1匹につき、だいたい2㎡必要と言われます。
うさぎは動き回るのが好きなので 狭いところにずっと閉じ込めておくと うさぎは大変なストレスを抱えてしまいます。
我が家の「うさぎの部屋」は文字通り、我が家の一室が「うさぎ部屋」になっています。
部屋にサークルを設置して 日中はそのサークルから出る事ができるようにして ほぼ放し飼い状態です。 が、電気コードやビニールなど、何を噛むかわからないので 外出する時や夜中は サークルを閉じています。
閉じていても 2m×3m以上の広さがあるので ぴょんぴょん出来ますよ。
お掃除の直後の写真です・・普段はもっと荒れて(?)います。何しろ バタバタと走り回るし、ホリホリしてオガクズがあちこちに散乱するし・・・
動物病院で定期的に検査、予防接種を受けさせる
これについては一度 ウサギの部屋の住うさぎが病院に行った時に書きました。
予防接種の必要がなくても ウサギの歯は伸びるので 牧草を食べたり、枝をかじったりして キチンと削れているか チェックしておらう事も大事です。
我がshirousagiは 牧草を食べていたにも関わらず、前歯が不正咬合(ふせいこうごう)になッったことがあります。 すぐに病院へ連れて行って歯を切ってもらいました。
また、奥歯に異常が出ると(シニアのウサギの20%に見られるらしいですよ)ウサギさんもそのそぶりを見せないし、素人では見ることができないので 病院で検査してもらうことが大事ですよね。
半年に一回、動物病院に出かけて、予防接種の他に
体重、耳、口の中(歯)、そして全身の様子など検査してもらっています。
以上が ドイツで 勧められているウサギの飼い方です。
日本と事情が違う事もあるので 全てドイツと同じやり方でウサギを飼うべきだ! とは言えないと思いますが なるべくウサギの気持ちを理解して うさぎたちが「この家にきてよかった!」と思ってくれると良いですね。
最近、SNSで 「ウサギを仰向けにしている写真をよく見るのだけど?」という書き込みを見て、また、「海外では多頭飼いなの?」という疑問の書き込みも読んだので
ドイツのウサギの専門家が勧めている「ウサギの飼い方」を紹介しました。
そうそう、ウサギは抱き上げられるのも苦手です。
広島県にあるウサギ島(大久野島)で「うさぎを抱き上げないで!」と書いた看板があるのに、 抱っこしている人がいて ちょっと怒りが込み上げてきたっけ。
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