外国語としてドイツ語を習うと、文法や正書法を最初から「このように書く」と理論的に習います。
ところが、母国語としてドイツ語を赤ちゃんの時から習っている(習っているのですよね)と なんとなく周りがそう言うから自分もそう言う、周りがそう書くから自分もそう書く、と「どうしてそのように書くか」わからないまま使っています。
なので、「ドイツ人の彼がそう言うのだから正確なのだろう」とは必ずしも100%確かなこととは限りません。
これは日本語を母国語とする日本人が全員完璧な(文法上正しい)日本語を使っているわけではない、のと同じですね。
「国語」の授業ではそれでも日本語を文法上正しく話すこと、正書法通りに書くことを学びます。
ですが、その文法を学ぶ以前にすでに話せる、読み書きできる母国語。普段使っている日本語は実は「文法上は間違い」であることも結構あります。(と書いているこの記事にも文法上の間違いはあるかと思います)
ところが、外国語で書いたり話したりするとなると、頭の中では理論的に「名詞は大文字で書き始める」とか「動詞は2番目に来る」など、その言語の規則を思い出しながら話したり書いたりしています。
なので、たまに「ドイツ人より正しいドイツ語」になることがあります。
まあ、残念ながら「たまに」ですが・・・
と言うわけで 日本人の書く日本語が必ずしも100%正しいとは限らないのと同じで、ドイツ人の書くドイツ語も必ずしも100%正しい、とは言えないのですよね。
前置きが長くなってしまいましたが
私がドイツに来てよく使っていた言葉に「zu Hause」があります。 例えば・・
Ich bleibe zu Hause. (私は家にいるわ)
このように書いていたら ドイツ人が書くのを見ると
Ich bleibe zuhause.
え? zu Hause ではなくてzuhauseなの??
ドイツ人がそう書くのだからそれが正しいのだろう、とそれからしばらくは私もzuhauseと書いていました。
zu Hause それともzuhause ?
2004年から現在にいたる「正書法」では実はどちらも正しいのです。
なのですが・・・余計なことを書くと、それまで2004年までの正書法では zu Hause (zu Haus) のみが正しかったのです。
と言うことは・・私はそれ以前にドイツに来ているので、私もドイツ人の書き方を見てから2004年まで「正書法的には間違った書き方」でzuhauseと書いていたのですね・・(汗)
- Heute bleibe ich zu Hause.
- Heute bleibe ich zuhause. (今日は家にいます)
どちらも正解です。Hauseの代わりにHausでも正解です。(実際にはhausよりhauseと使う方が多いです)
- Trotz des schönen Wetters bleibe ich zu Haus.
- Trotz des schönen Wetters bleibe ich zuhaus. (良いお天気ですが家にいます)
薦められているのは「zu Hause」
Duden(ドイツ語の正書法で権威のある辞書)では zu Hause でも zuhauseでも正解としながらも「zu Hause」と書くように薦めています。
その訳は・・
名詞としての「Zuhause」
「zu Hause」とは別に 「Zuhause」と言う名詞があります。 名詞なので 常に大文字で書き始めます。
- das Zuhause うち、住まい、家庭、故郷
例えば
- Du hast ein gemütliches Zuhause. (君は居心地の良い家を持っているね)
- Sie hat kein Zuhause . (彼女は住まいをもっていない)
前置詞+名詞 の 「zu Hause」
話を”Ich bleibe zu Hause.”に戻すと これは「前置詞」zu に「名詞」Hause が続いたもの、が本来の形ですね。 (それが「zuhause」と書く人が多くなって 正書法でも「zuhause」が認められるようになったのだと思います。)
現在は「正しい」と認められている「zuhause」ですが、この単語が文頭に来るとどうなるでしょう?
- Zuhause bleibe ich heute. (今日は家にいるわ)
そう、名詞としての「Zuhause」と形が全く同じになってしまうのです。
だからDudenでは 「zuhause」より「zu Hause」の方が良いよ! と言っているのですね。
(まあ、名詞のZuhause の場合は冠詞を伴うことが多いですが・・das Zuhause というように)
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