11月11日は「聖マルティンの日」(Sankt-Martins-Tag, Martinstag)です。
「聖マルティン」は誰?
316年生まれのローマの兵士で ある寒い日の夜、食べるものも着るものも十分にない人が あまりの寒さに震えているので 自分が来ていたマントを切り分けて その寒さに震えている人に分け与えた、と言う話が伝わっています。
のちにトゥール(現・フランス)の司教になり、」397年11月11日に亡くなったので 11月11日を「聖マルティンの日」として その良い行いをした聖マルティンの事を思い出す日となっています。
聖マルティンの日、と言えば
ランタンを持って歌を歌ってお菓子をもらう
11月11日近くになると 幼稚園や小学校、地域の集まりで 子供達が集まり、各々「ランタン」(紙などで作ったちょうちん)を持って「聖マルティンの歌」を歌いながら 行列を作って町を歩きます。
行列には その地域の音楽隊や 中学生・高校生のブラスバンドが歌の伴奏をし、馬に乗った「聖マルティン」が参加することも多いです。
ちょうちんを持って近所の家庭を訪れて ドアのところで「聖マルティンの歌」を歌ってその家庭からお菓子をもらって歩くことをする子供たちもいます。 (ちょっとハロウィンに似ていますね)
「ベックマン」(Weckmann)を食べる
この「聖マルティンの日」からクリスマスにかけて 地域によっては パン屋さんでよく売られているのが「ベックマン」と言うパンです。 これはドイツどこでも同じ風習、と言うわけではなく、主にルール地方(Ruhrgebiet)、それからラインラント(Rheinland)の風習です。 デュッセルドルフやケルンといった日本人が多く住んでいる地域が含まれています。
では、ベックマンとは何でしょう?
ベックマン (Weckmann)です。
Weck=甘いパン Mann=男の人
見たらすぐにわかる通り パイプをくわえた人の形をしたパンです。 Stutenkerlとも呼ばれます。この場合も意味は同じです。(Stuten=甘いパン、Kerl=男の人、奴)他にも地域によって名称が違うことがあります。
このベックマン、デュッセルドルフ近郊では 「白い陶器製のパイプ」を持っています。
甘いパンはその昔は贅沢品でした。(砂糖やバターが贅沢品。これらを使って焼いたパンなので 特別な日にはこの甘いパン、と言う習慣ができたのですね)
どうしてパイプを持っているのか?
なんでも このベックマン、「聖ニコラウス」(サンタクロースのモデルと言われている)を表したもの、と言われ、地域によっては 12月6日の「聖ニコラウスの日」から食べられています。 また、「聖マルティン」を形どったもの、とも言われています。
どちらにしても 司教です。司教は杖を持っているのですが、ベックマンの白いパイプはその杖を表しているとか。 もともと杖だったのが18世紀にあるパン屋さんが隣のタバコ屋さんでパイプをみて、 「これは・・杖を逆さまにした形と一緒だ!」と司教の杖の代わりにパイプをパンにつけて焼いたからだ、と言う説もあります。
パイプをもっていないベックマンもありますが 子供達にはこの白いパイプが結構人気です。 パイプは食べられないので(何しろ陶器製)ベックマンをもらったら パイプは捨てずに集める子供も!
ディナーは「ガチョウのロースト」
「聖マルティンの日」のご馳走は
「ガチョウのロースト」にじゃがいも団子(Knädel)と紫キャベツを煮た物を添える、のが定番です。 (ちなみに・・クリスマスのご馳走も同じです)
どうしてガチョウを食べるのか?
トゥールの司教になってくれ、と使いが来た時、マルティンは司教になりたくなくて ガチョウ小屋に逃げ込んだが、ガチョウが騒ぎ立てて見つかってしまった、と言う伝説があります。
だから・・聖マルティンの日にはガチョウを食べるのだと。
また、歴史研究家の説では 封建制度の時代、11月には税を納めなければならず、その際にガチョウが納められたことが多かったから、ガチョウを食べるようになった、と言われています。
そして、この11月11日は 「クリスマス前の断食」前最後の日でその翌日からクリスマスまで断食するので 断食の前には「栄養たっぷりのご馳走」を食べる、と言うわけで ガチョウのローストを食べるようになった、と伝えられています。
郊外の広い畑でガアガアと大きな声で鳴いているガチョウ。(写真中央あたりの白い点がそれです)毎年夏近くになると 大量のガチョウが畑に現れ(ガチョウを飼っている農家の畑)思いっきり夏を楽しんだガチョウは・・・11月も過ぎると徐々に姿を消します・・・12月26日を過ぎると ほとんどいなくなります・・・・
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