ドイツ語の文章には6つの時制がある事はすでに勉強しましたね。
今回はこの中の4つ目、「過去完了形」(Plusquamperfekt)についてより詳しく説明します。
過去完了形(Plusquamperfekt)とは
ドイツ語ではVorvergangenheit(vor=前、Vergangenheit=過去)、つまり、過去のその前、という意味ですね。
過去の出来事を語っている時、さらにその過去の事を表します。
過去完了形の文章の作り方
過去完了形の文章は
- 「sein」支配の動詞の場合・・seinの過去形 + 過去分詞
- 「haben」支配の動詞の場合・・habenの過去形 + 過去分詞 です。
この時、
- seinやhabenの過去形は人称変化させて「動詞」の位置に(平叙文では2番目)
- 過去分詞は文章の最後、文末に来ます。
現在完了形の文章のhaben/seinを過去形にした形ですね。この2つの動詞の人称変化形は以下の通りです。
人称 | 主語 | sein | haben |
1人称・単数 | ich | war | hatte |
2人称・単数 | du | warst | hattest |
3人称・単数 | er/sie/es | war | hatte |
1人称・複数 | wir | waren | hatten |
2人称・複数 | ihr | wart | hattet |
3人称・複数 | sie | waren | hatten |
動詞の過去分詞の作り方は「動詞の三基本形〜不定形・過去形・過去分詞」を読んでくださいね。
どの動詞がseinをとり(sein支配)どの動詞がhabenをとるのかは「現在完了形」を読んでくださいね。
では、実際に過去完了形の文章を作ります。
sein支配の例としてgehen(行く)を使うと、(gehenの三基本形はgehen-ging-gegangen) 過去分詞は「gegangen」ですね。主語を「私」(ich)にすると、
Ich war gegangen.
haben支配の例としてlesen(読む)を使うと、(lesenの三基本形はlesen-las-gelesenですよ)過去分詞は「gelesen」です。主語を「君」(du)にすると、
Du hattest gelesen.
と、なります。
過去完了形の文章を使う時は
では、実際に過去完了形の文章を使う時を見ていきましょう。
過去完了形は、過去のある出来事が基準点となり、それより前に起こったことを表す時です。
過去のある時点よりもさらに前の時点、の事を大過去ともいいますよ。
・・・というのはどういう意味かというと・・・例をあげた方がわかりやすいですね!
![ぶらうん1](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_0049.jpg)
shirousagiさん、僕、先週、友達が演奏するというので、コンサートを聴きに出かけたんだよ!
Das Konzert war gut!
(そのコンサートはよかったよ!)
![shirousagi](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/DSCN0563.jpg)
まあ、よかったわね。
(コンサートは先週のことで、すでに終わっていますね。過去の出来事です。)
![ぶらうん1](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_0049.jpg)
そう、良い演奏だったんだよ。
Das Konzert war besser, als ich gedacht hatte.
(そのコンサートは僕が思ったより良かったんだよ)
![shirousagi](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/DSCN0563.jpg)
コンサートに行く前は、ぶらうん1は「このコンサートはあまり面白くないかも。でも友達が出るんだし・・」と思ったのかな?
この「思った(こと)」は、過去の出来事であるコンサートがあった時点よりさらに前の事だから、ここでは過去完了形を使うわよ!
基準点になっている出来事は「コンサート」ね。
![ぶらうん1](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_0049.jpg)
Ich habe einen Pizza gegessen,
nachdem ich das Konzert besucht hatte.
(コンサートの後、ピザを食べたんだ!)
![shirousagi](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/DSCN0563.jpg)
“ich habe einen Pizza gegessen.” は現在完了形だけど、過去の出来事ね。ドイツ語は過去の出来事を現在完了形で表すのだったわね。
現在完了形の文章でも、その文章より前(ここでは、ピザを食べた事より前)の出来事は「過去完了形」を使うわよ。
ピザを食べたのが基準点(過去の出来事)でコンサートに行ったのはさらにその前の出来事ね。
だから、この場合は「コンサートに行った」は過去完了形なの!
![shirousagi](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/DSCN0563.jpg)
(えっと・・だけど、ぶらうん1、あなた、人参で出来たピザを食べたの?)
(ドイツ語実用での)例外
実際にドイツ語を話す時に、過去完了を使わない例外があります。
現在完了形と同じく、動詞が
- sein, haben
- 話法の助動詞(wollen,müssen,können,dürfen,sollen,mögen)
の時は過去完了形にせず、過去形のまま使います。
❌Nach dem ich im Konzertsaal gewesen war, habe ich einen Pizza gegessen.
⭕️Nach dem ich im Konzertsaal war, habe ich einen Pizza gegessen.
![](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/11/IMG_4386.jpeg)
![ぶらうん1](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_0049.jpg)
Die Reise nach Japan war schöner, als ich gedacht hatte.
(日本旅行は思ったより良かったよ。)
Das Essen in Japan war besser, als ich gedacht hatte!
(日本での食事は思ったより良かったよ。)
![shirousagi](https://shirousagi17.com/wp-content/uploads/2019/05/DSCN0563.jpg)
まあ、よかったわね!で、何を食べたの??
まさか、人参?
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